血糖値自己測定(SMBG)のすすめ
糖質制限は食後高血糖に着目した食事療法
糖質制限食は、食後高血糖に着目した食事療法です。
一食あたりの糖質量がどの程度なら血糖値が急上昇しないかを計算して献立を組むのですが、これは「一般的な2型糖尿病患者は1gの糖質に対し血糖値が3mg上がる」という計算をベースにしています。(1型糖尿病の場合は、1gあたり5mgの上昇)これをベースに、食前血糖値110mg未満・食後2時間血糖値180mg未満を目標として計算し、メニューを組み立ていきます。
しかし血糖値上昇量は個人差があり、すべての人がこの計算式に当てはまるとは限りません。
ではどうしたらいいのか?その指針となるのが、自らの血糖値です。
自分の食後血糖値を知るには?
さて、自分の血糖値の調べ方ですが、病院でも測定してもらうことは可能です。
ブドウ糖負荷試験(OGTT)といって、空腹時血糖値・ブドウ糖摂取30分後・1時間後・2時間後の血糖値を測定する方法が良く取られます。
この結果を元に自分の耐糖能を把握することも出来ますが、この検査は既に糖尿病である人にはおすすめできない検査方法です。
というのも、人為的に高血糖を作り出すからです。それだけでも負担ですが、大量のブドウ糖を一度に摂取するため、高血糖のあとはインスリン遅延による低血糖が待っています。
ですから、糖尿病と診断されていたり、その他の方法で糖尿病の可能性が極めて高いと診断された場合(HbA1c高値など)には行われない検査です。
設備があれば随時血糖値も調べてもらえますが、そのためにわざわざ病院へ行くのも…という気がしますよね。
そこでおすすめしたいのが、「血糖値の自己測定(SMBG)」です。
自己測定は、血糖値が気になるなら誰にでもおすすめ
1型糖尿病の人や2型糖尿病でインスリン治療をしている人などは、病院から測定器を借りたり、もしくは自分で購入するなどして使用しているケースも多いようです。
しかしそれ以外の人で自己測定をする人は少なく、医療機関も特にすすめることはありません。
自己測定器や消耗品に健康保険が適用されるのも原則としてインスリンやGLP-1受容体作動薬の注射をしている人に限られ、それ以外の人には特に必要ないという考えがあるようです。
しかし食後高血糖を防ぐという点を考えると、血糖値の自己測定はどのような人にでも利点があります。
また「食材による血糖値の上がりやすさ」には個人差がありますが、自己測定をすることでどの食材が自分にとって血糖値が上がりやすいか・上がりにくいか、食事内容による血糖値の推移はどうかといった細かいことが把握できるようになり、より効果的な食事メニューを考えることが出来ます。
場合によっては今まで危ないと思っていた食材がOKになり、料理のレパートリーが広がるかも!
こういったことも、自己測定なくしてはなかなか知り得ないことですよね。
というわけで、既に糖尿病と診断されている人にかぎらず、予備軍や境界型・遺伝的心配・妊娠中や妊娠を考えている人など、血糖値が気になる人のすべてに血糖値の自己測定をおすすめしたいと思います。
どうやって入手したらいい?
糖尿病の治療を受けている場合には、まず主治医に相談してみてください。
もしかしたら健康保険が適用されるかも?適用外でも購入させてもらえる場合があります。
糖尿病だけど医療機関で購入できなかった場合や、、糖尿病と診断されてないけど血糖値を自己測定したい場合には実費となりますが、測定器を購入することが出来ます。
入手方法ですが、薬局がまず挙げられます。
血糖自己測定器は高度管理医療機器となるためどの薬局にでも売っているわけではなく、販売許可が降りている薬局でしか購入できません。
そんな時に手っ取り早いのが、インターネットでの購入です。
血糖値測定器を専門に扱っているネットショップもありますし、楽天市場やamazonなどはたくさんのレビューを見ることが出来るので、購入の参考にもなります。
ただしネットショップだと、法改正の関係で最近では特にチップ(センサー)の入手が難しくなっているようです。(機種にもよります)
ネットで購入できているうちは良いですが、近所の薬局も同時に開拓しておくのは重要だと思います。
高度管理医療機器の販売が出来る薬局なら、在庫がなくても取り寄せてもらえます。
調剤薬局なら確実かと思います。購入が可能か相談してみましょう!
その他には、個人輸入という方法もあります。
血糖値測定器と関連商品を専門に扱う個人輸入代行ショップもありますので、ネット検索などで探してみましょう!
<うちの店を紹介して!というショップさんからの連絡お待ちしてますw>
価格は?
一般的な測定器本体の価格は1万円~1万5千円前後。
本体だけでは使用出来ませんので、本体と穿刺器具(血液を出すための小さな針)、替えの針、センサーなどがセットになった初回セットの購入がおすすめです。
穿刺用の替え針・センサーは消耗品ですので、在庫がなくなれば再度購入する必要があります。
針はさほど高いものではありませんが、センサーは一箱3000円~かかります。
おすすめの機種は?
医療機器であること・痛みの感じ方などには個人差があることなどから、簡単に「これがおすすめ」とは言い難いのですが…
針の痛みを感じにくい・血液量が少なくて済むなど、自分が譲れないと思うポイントから調べていくと良いと思いますし、やはり古い機種より新しい機種のほうが何かと技術が進んでいますので、新しいもののほうがいいと思います。
個人的には下の3つがおすすめです。
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測定の方法は?
基本的に採血は指先から行います。
採血する場所を消毒し、専用の穿刺針を使って指先に刺して血液を採取します。
血液は搾り出すようにすると採取しやすいですが、搾ると血液以外の体液が多く混ざってしまいます。より正確な測定結果を得るためにも、あまり無理に搾り出さないほうが良いようです。
必要な分量の血液をチップに吸わせて測定します。
測定の頻度ですが、糖質制限を行う上では定期的に測定する必要があるものではありません。
初期には「計算した糖質量でどの程度血糖値が上がるのか」といった確認のために数回測定すると良いと思いますし、その把握が出来ればあとは気になった時や血糖値の上昇に個人差がありそうな食材(やまいもなど)を食べた時の血糖値、食べ合わせによる血糖値上昇の変化などについて調べるときなどに測定すればよいと思います。
ただし医師から指示がある場合はその限りではありません。
注意点は?
自己測定器はあくまでも簡易測定ですので、結果に誤差が生じる場合もあります。
自己測定器で10mg~20mgの誤差はよくあることのようです。
穿刺針は基本的に一回使い捨てです。
「他人と使い回すわけじゃないから何度か使いたい」と思うかもしれませんが、一度使用した針は衛生的にも問題がありますし、見た目にはわからなくても一度使用するだけで針先は磨耗します。
そのため何度も使い回すと痛みが強く出る場合もありますのでおすすめできません。
メーカーが推奨しない使用方法で万が一何かトラブルがあっても自己責任となってしまいます。
測定前の消毒も必ず行いましょう。
採血のための針穴は小さなものですが、糖尿病の人にとっては小さな傷も気をつけるべきです。