ローカロリーやノンカロリーの甘味料は、血糖値を上げにくい・もしくはまったく上げない糖質を使っていいます。
「血糖値を上げにくい」とはどの程度なのか、「ノンカロリーの甘味料」とはどんな成分なのか、このページでおさらいしましょう。
「炭水化物」と「糖類」と「糖質」
まず、糖質制限食で最も注意すべき「糖質」。
糖質とは、炭水化物から食物繊維を引いたものの総称です。
栄養成分表示を見ると糖質量ではなく炭水化物量を記載している製品も多くありますが、食物繊維量も表示されている場合は炭水化物量から食物繊維量を引くと糖質量がわかります。
食物繊維は血糖値を上げませんから糖質制限的にはOK。
食物繊維豊富な食品は炭水化物量が多く表示されていますが、実際の糖質量はかなり少なかった…ということも多いわけです。
では、「糖類」とは何でしょうか?
実は、糖類も糖質に含まれるものです。
糖類は糖質のうち単糖類・二糖類を指す総称です。
糖質制限的にNGな砂糖、ブドウ糖などはこちらに入ります。
炭水化物と糖質と糖類をわかりやすく図にすると、以下のようになります。
食物繊維は血糖値が上昇しない
炭水化物のうち、食物繊維は消化吸収されないため、それ自体は血糖値を上昇させません。
食物繊維には「不溶性」と「水溶性」の2種類あり、不溶性食物繊維は水分を吸収して便を柔らかくする効果が、水溶性食物繊維には糖質や脂質の吸収を遅らせる効果があります。
- 不溶性食物繊維…セルロース、キチン、キトサンなど
- 水溶性食物繊維…ペクチン、グアーガム、キサンタンガム、グルコマンナン、イヌリン、ポリデキストロース、難消化性デキストリンなど
とろみ付けとして糖質制限レシピではお馴染みの「グアーガム」「キサンタンガム」は食物繊維で血糖値を上昇させません。嬉しいですね!
「サイリウム」(オオバコ種子粉末)も出番の多い食材ですが、こちらは水溶性と不溶性どちらの食物繊維も含んでいます。
糖質には血糖値を上げるものと上げないものがある
糖質は大きく分けて「糖類」と「それ以外」。
糖類は血糖値を急上昇させるため、糖質制限食では避けるべき成分です。
では、「それ以外」の成分はどうでしょうか。
実は多糖類にも糖アルコールにも、血糖値を上昇させるものがあります。
糖類ほどではないにしろ、消化吸収されたぶんは血糖値を上げてしまいます。
デキストリンやでんぷんは言わずもがな。他には、例えばノンシュガーガムやチョコレートによく含まれるキシリトール。これも血糖値を上昇させてしまいます。
血糖値を上げるか上げないか、簡単に判断する方法は「カロリー」がわかりやすいと思います。
例えばキシリトールは2.4kcal/g。このカロリー分は消化吸収されるということです。
ちなみに上白糖は3.8kcal/g。キシリトールって、砂糖と比べてもすごく低カロリーってわけではないんですね。
それからキシリトールと並んでノンシュガー系食品によく使われているマルチトール(還元麦芽糖)も砂糖の約半分のカロリーがあり、やはり血糖値も砂糖の半分程度は上がります。
これらを含んだ食品は、いくらノンシュガー低カロリーと言っても大量に食べ過ぎないほうがよさそうです。
血糖値を上げない糖質
それでは、血糖値を上昇させない糖質は何か?
それはすなわち体内で消化吸収されない、「0カロリーの糖質」ということになります。
基本的には以下の成分が0カロリーで、血糖値を上昇させません。
エリスリトール(糖アルコール)
アスパルテーム・アセスルファムカリウム・スクラロース・サッカリン・ネオテーム(合成甘味料)
エリスリトールは糖アルコール類で唯一血糖値を上昇させない天然由来の糖質です。
エリスリトールは安全性が高く、海外(FDAなど)でも摂取量の規制がありません。
熱にも強いため、砂糖の代用としてよく使われます。
合成甘味料5種類も厚生労働省の認可が下りているものですが、摂取総量の規制があります。
食品に「糖質ゼロ」でなくても「カロリーゼロ」と表示されている場合には、上記の甘味料を使われていることが多いです。
糖類は血糖値を上昇させる
糖質のうち、きわめて血糖値を上昇させるのが「糖類」です。
おなじみの砂糖をはじめ、ぶどう糖や果糖などは血糖値を急上昇させます。
糖質制限的には完全にNGとなります。
「果糖は血糖値の上昇が緩やか」という情報もありますが、これは個人差があるようで、果糖でも血糖値が上昇する人がいますので注意しましょう。
また血糖値を上昇させないとしても果糖はブドウ糖よりも糖化を起こしやすいので、過剰の摂取は禁物です。
糖質制限食におすすめの甘味料
個人的なおすすめは、やはりエリスリトールが主成分の甘味料ですね。
天然成分ですし、海外でも安全性が高いと認められているものです。
ただし市販のエリスリトール系甘味料には、甘み調整のためにスクラロースなどの人工甘味料が添加されているものがほとんどです。
純粋なエリスリトールもネット通販などを探せば容易に購入できますが、甘さは砂糖の70%程度となり、同じ甘さにしようと思えば当然使う量も多くなります。
エリスリトールは大量に使うと結晶化しやすいため、お菓子作りなどには甘み調整をされたエリスリトール系甘味料を使用したほうが良さそうですね。
代表的なエリスリトール系甘味料としては、以下のようなものがあります。
「エリスリム」のリニューアル品。スクラロースを配合し、砂糖の3倍の甘さに調整。
こちらは液体バージョン。甘み成分は顆粒と同じ。
エリスリトールに焙煎羅漢果エキスを配合し、砂糖と同等の甘さに調整されています。
ラカントシリーズにはシロップや飴などいろんな商品があります。
上記の甘味料に添加されているスクラロースは、砂糖の600倍の甘さがあります。
そのため添加されている量はわずかだということが想像できるかと思いますが、「砂糖の○倍の甘さ」とされている甘味料にはそれだけスクラロースが添加されていると考えて良いかと思います。
ちなみにラカントSに添加されているラカンカエキスは植物由来の天然成分。砂糖の300倍の甘さで、糖質ではなく食物繊維に分類されます。
「少量でも人工甘味料は嫌だな」という人は、ラカンカエキス添加のものか100%エリスリトールを選ぶと良いでしょう。